something more precious

02


「ようこそ、我が城へ。神のお告げにより選ばれた君たちを歓迎するよ。息子が妻を選ぶまでの間、ここでゆっくりすご
すといい。この城の中や城下町や近辺ならどこに行ってもいいが、自国に帰ることだけは禁じられているので注意す
るように・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
continentの中心にある皇帝が住む城の玉座があるところでは、神のお告げにより選ばれた3人の姫君たちに皇帝
があいさつと注意事項などを述べていた。
皇帝の横にたっていた彼の息子であるクニミツはふと自分に向けられている視線が好意などではないことに気付き、
その視線の主を辿っていくと、そこにはお告げにより選ばれた自分の后候補の1人がいた。クニミツが目を向けるとそ
の少女はより一層クニミツを睨みつけるのだった。当然クニミツは困惑した、なぜ自分の后候補の少女に睨みつけら
れなければならないのか・・・。
「・・・・・・・・・・では、名前を教えてくれるかい?」
自分の父の言葉にクニミツは考えるのをやめ、彼女たちの言葉に耳を傾けた。
「私くしは、セウフィ国のレイ・セウフィと申します。よろしくお願いいたします。」
そう言ってニッコリ笑ったのはセウフィ国のレイ・セウフィで、彼女は茶色の髪に灰色の眼をした美人だった。歳は19
歳。
「私は、スタバニ―国のケイ・スタバニーですわ。お世話になります。」
花のように笑ったのはスタバニ―国のケイ・スタバニーで、黒と茶色が混ざったような髪と眼の色で、かわいらしい感
じの人だった。歳は同じく19歳。
「・・・・・・・・・・・・・・・・。」
ケイが言った後、その場には沈黙があった。
「3番目の姫?」
皇帝が声をかけると3番目の姫が口を開いた。
「・・・エチゼン国のリョーマ・エチゼンです。皇帝陛下、皇后陛下、先に言動、行動の無礼をお詫び申し上げておきま
す。・・・・・・王子様、言っとくけど、俺はアンタの后になるつもりないから。・・・・・・・・部屋へ行きます。」
そう言うと、その場に固まっている人たちを放ってリョーマは自分に充てられた部屋へと戻っていった。









「まぁ、なんと無礼な姫なんでしょう。」
「クニミツ様に対して失礼極まりないですわ。」
残った2人の姫が口々にリョーマに対して不平を言った。
「まぁまぁ、セウフィ国の姫、スタバニー国の姫、あなた方もご自分のお部屋へ帰って、疲れを癒してくださいな。」
そんな姫たちに皇后がゆっくり促した。
「はい、ありがとうございます、皇后陛下。」
「では、失礼いたします。」
そう言い、2人の姫たちは自分の部屋へと戻っていった。




















「シュウスケ、エイジ。」
姫たちが退室したのを見計らって、皇后は息子の友人であるシュウスケとエイジを呼んだ。
「はい、なんでしょうか?」
2人が目の前に来たのを確認すると、皇后は2人に言った。
「あなた方2人には先ほどのエチゼン国の姫のお世話をして欲しいのです。私くし達2人は彼女のことを昔から知って
います。もちろん彼女の両親のことも。あの子はあんなことを言う子ではありません。何かあったに違いありません。
ですから、2人に彼女の話を聞いてあげたり、お世話をしてあげて欲しいのです。」
皇后の言葉にシュスケとエイジは顔を見合わせた後、笑顔で承諾した。
「わかりました、皇后陛下。」
「わかりました。」
そして、リョーマの部屋へと向かうのだった。









































「クニミツ、彼女に何かしたのかい?」
その場に誰もいなくなってから皇帝であり父であるクニハルが尋ねた。
「いえ、した覚えはないのですが・・・。」
「本当に?忘れてるだけではないの?」
皇后でもあり母でもあるアヤナにも言われ、クニミツは眉間にしわをよせながら考えるが、身に覚えがなかった。な
ぜ、初対面だと思われる少女に睨まれるのか・・・。考えれば考えるほどわからなくなる・・・。
「仕方がない。彼女自身が話してくれるまで待つか。」